ひまわり
学校から最寄りのバス停で降りると、5分程度で学校に着く。

ガラガラッ
教室の扉を開けると、まだクラスメイトは誰もいない。

窓側の前から二番目の自分の席に座って、小説の続きを読む。

ガラガラッ
「おっ!おはよう永峰〜!」

扉を開く音がしたと思ったら、明るい声で挨拶が聞こえた。
読むのをやめて顔を上げると、クラスメイトの泉谷遼(いずみやりょう)がいた。

「遼くん、おはよう♪」

ニコニコと笑顔でこっちに歩いてくる遼くん。
席は私の隣。
遼くんが来たし、読書は終わり!ってことでしおりを挟んでしまう。

「毎朝、ホント来るの早くない?」

「だってバスの時間が微妙なんだもん。」

そう!
私がいつも乗るバスだと、クラスに一番乗りしてしまうほど早く着いてしまう。
だからって次の時間にズラすと、遅刻ギリギリになってしまうのだ。

「こないだ間に合ってたじゃん。一本遅いので良くね?」

「道が混んでたりすると遅刻だよ〜?だったら余裕持って来たほうがいいもん」

「真面目だなぁ〜。」

ケラケラと笑っている遼くんは黒髪の似合う爽やかな人。
バスケ部所属ってこともあり、前髪は眉にかかるくらい、サイドは耳にかかるくらい、襟足も長くならないようにしてあるスッキリとした髪型。
でもそれが似合っていて、オシャレに見える。

身長が高くて180cm近いと言っていた。
154cmと比較的小さめの私は、いつも遼くんを見上げている。

バスケ部の朝練がある日の遼くんは、この時間に教室に来る。
朝練のない日は遅刻ギリギリの時間とわかりやすい人。

「真面目だから遼くんと話すようになったんだよ?良いことじゃん♪」

「ん?そういえば、そうか。」

入学当初から私の登校時間は、こんな感じだった。
誰もいない教室で読書をしていると、部活終わりの遼くんが入ってくる。
初めは話したりしなかったんだけど、6月に席替えをして遼くんと席が近くなった時に、遼くんから話しかけられた。
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