ひまわり
「いや~実はさ…。」

遼くんは言いにくそうに話し出した。

「朝練の時間に来たんだけど、始業式で朝練なかったんだよね~。」

にかっと笑って言った。
・・・そういえば今日はグランドとか人がいなくて静かだったなぁ

「じゃあ間違えて早く登校してからずっと教室にいたの?」

「そうです。永峰が早くて助かったわ~♪」

朝から一人で教室にいた遼くん。
早起きしたのに、朝練なかったって気がついた時の遼くんを想像したら・・・

「あははは。もう〜新学期早々なにしてるの~??」

声を出して笑ってしまった。
ちょっと恥ずかしそうにしながらも、遼くんも笑っていた。

「…良かった。元気そうで。」

小さな声で遼くんがポツリと呟いた。

「え?今なんて言ったの?」

笑い続けていた私はその言葉を聞き取ることが出来なかったけど、「内緒っ♪」って嬉しそうに遼くんが言うから、私もなんだか嬉しい気分になれた。

二人で話しているうちに、続々とクラスメイトが登校してきていた。

・・・クラスメイト?
今日クラス替えがあるから元クラスメイトになるのかな??

「おっはよー♪結麻~!昨日ぶり~♪」

意味のないことを考えていると、愛実も明るく教室に入ってきた。
チラッと時計を見ると、もうすぐチャイムが鳴る時間。
今日の愛実は遅刻ギリギリだったみたい。

「春休みのくせで目覚ましかけるの忘れちゃって、お母さんに起こされたの~。」

ということだそうです。
ほんのりと額に汗がにじんでいる。
自転車を飛ばして登校してくる愛実の姿を想像してしまった。
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