ひまわり

「この高校出身ってことは、教育実習もここでしたんですかぁ？」

「あぁ。大学三年の時にしたよ。その頃から国枝先生にはお世話になってます。」

「先生って25歳ですよね？卒業してすぐは違う高校だったんですか？」

「卒業して二年は私立の高校にいました。公立は今年が初めてです。それが自分の出身高校なのはすごい嬉しいよ。」

「先生ってなんて呼ばれるんですかー？」

「そうだなぁ～。友達からは裕行かな。前の学校では【おーちゃん】って呼ぶ生徒がいたけど…大野先生って呼んでくれよ！？」

「はーい！おーちゃん♪」

どっと笑いが起こる。
「言ったばかりだろ！」なんて言いながら、大野先生も笑っていた。
たれ目のせいか、目尻を下げて笑う顔。
きゅーんと胸が締め付けられる。

「先生は彼女はいますか～？」

笑い声の中、聞こえてきた冗談半分で興味本意の質問。
私の顔から笑顔が消える。
こんなに真剣に聞いているのは私だけかもしれない。
クラスの中はまだ笑い声が響いている。

困った様な顔をする先生。

「お～っと…プライベートなことまで突っ込んでくるなぁ。…それは秘密ってことで♪」

「「「え～！！！」」」

みんなから不満の声が上がる。
冗談で出た質問だけど、知りたいと思う人は多かったみたい。