ひまわり

「いいじゃん！おーちゃん教えてよ！」
「そうだよ！知りたいじゃん！先輩、教えてよ～！」

男子が騒ぎだす。
若い先生ってことで悪ノリのようなものだろう。
大野先生は教師経験があるだけあって、笑って上手くかわしていた。

「なぁ～！女子だって知りたいよなぁ～！先生に彼女がいるか！」

突然聞こえてきた言葉。
考えるよりも先に体が動いた。

「知りたいです…！」

椅子から立ち上がり、先生を真っ直ぐ見つめて叫んだ。
先生が驚いたような顔で私を見ている。
騒いでいた生徒達も唖然と私を見る。

キーンコーンカーンコーン

シーンとなってしまった教室に、チャイムの音が大きく鳴り響いた。
自分のしたことが信じられず、下を向いて席に座り直した。

「…まぁ先生についてもっと知りたい人は、直接聞きに行くように。じゃあ今日は終わり。明日は新学期の学力テストと教科書販売な！お金を忘れないように！」

国枝先生が挨拶をすると、クラスメイトはガタガタと席を立ち上がり始める。
部活にいく人もいれば、帰宅する人たちもいる。
私は動けずにいたけど、少しだけ視線を上げて、大野先生を見た。

国枝先生と教室を出ていくところだった。
すると・・・チラッと私を見た。
優しく笑いかけてくれた気がしたけど、すぐに廊下に出ていってしまった。

一点を見つめて動けない私。
赤面性の私は、きっと顔が赤くなっているはず。