ひまわり
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広い体育館の中では、パイプ椅子を片付ける音が響いている。

俺───遼も作業している一人だ。

バスケ部とバレー部が入学式の終わった体育館の片付けを行っている。
片付けないと練習が開始出来ない。

椅子を畳みながら俺は真っ直ぐと一ヶ所を見る。
そこには生徒の中に混ざって、楽しそうに片付けをする大野先生の姿があった。
先生を見ると、さっきまで教室で見ていたことが、一気に蘇る。

「知りたいです…!」

珍しく大きな声を出した永峰。
先生の彼女の有無を知りたがっていた。

さらに教室を出ていく先生を見つめていた永峰の顔は、熱を帯びて赤くなっていた。

・・・どう見てもあれは【恋している顔】だ

「マジかよ…。」

永峰を好きな俺が焦っているのは、他にも理由がある。

永峰が自己紹介を始めたとき、大野先生が永峰の名前に反応していた。
昨日のことで体調を心配したかのように振る舞っていたけど、それだけじゃない気がする。

二人は知り合いなのか・・・?
永峰は先生が好きなのか・・・?

知りたいけど、怖くて聞けない。


「おい!遼!手が止まってるぞ!早く片付けろ!」

考えることばかりに気をとられていた俺は、部長から声をかけらえられた。

「はい!すみません!」

返事をして作業を再開する。

大丈夫だ・・・たとえ知り合いでも、永峰が恋していても、所詮は【先生と生徒】
恋愛関係になれるわけがない

そう自分に言い聞かせて、黙々と体育館の片付けに集中をした。
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