ひまわり
「そんなこと言って、先生は好き嫌いないの?」

同じ班の男子が横から、ちゃちゃを入れ出した。
班のメンバー全員で先生の近くに集まる。

「ないよ。大人をバカにするなよ?」

カラカラと笑いながら先生が答えた。
細めた目で男子三人が先生を見ていたが、その瞳には疑いの色が隠しきれていない。

「じゃあ~!これ食ってよ!」

男子の一人がピーマンを箸で摘まんで、先生の前に差し出す。
それを迷わずにパクッと頬張る先生。

「良く焼けてて上手いな♪」

「じゃあこれは?」

違う男子がナスを差し出す。
これもすぐに口の中へと消えていった。
ニンジン、エノキ、玉ねぎ・・・次々と先生は食べている。

ニコニコと野菜を頬張る姿が、やっぱり幼く見えて、胸がキュンと跳ねる。

「本当に好き嫌いないんすね。まだ食べてないのは~…。」

「もう良いだろ。諦めろ♪」

「あっ!シイタケ!!最後にこれ食べてってくださいよ!」

遼くんが気がついたようにお皿からシイタケを摘まみ上げる。
その瞬間、頭がズキンッと強く痛んだ。


・・・ダメ
先生にシイタケあげちゃダメ


痛みと共に頭を巡った思い。
そんな私の目の前で、遼くんが先生の口元にシイタケを運んだ。
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