私と彼の恋愛理論
目を疑うと同時に、反射的に二人を追いかけようとしている自分がいた。

でも、楽しく笑いながら歩いているまどかが幸せそうで。

俺は結局一歩も動けないまま、二人を見送った。

今更、俺が彼女に何を問いつめることが出来るのだろう。

1ヶ月以上も音信不通だった俺が。

彼女に愛の言葉すらささやけなかった俺が。




部屋に帰って、上着を脱ぎ捨てネクタイだけ緩めてベッドに寝転がった。

彼女と暮らすつもりだった部屋は広くて静かで、電気も点けずに俺は天井を見つめていた。

まどかはあの男と付き合っているのだろうか。

別れ話をしたつもりは無いが、1ヶ月以上も音信不通なら自然消滅したと思われても仕方ない。

まどかがあの男に向けていた笑顔を、思い出す。

彼女の幸せを思うなら、このまま俺は身を引いた方がいいのかもしれない。

そんなことは絶対嫌だと思っても、俺は彼女に連絡することを躊躇していた。

とっくに携帯の画面には彼女の番号が表示されている。

でも、俺は通話ボタンを押すことが出来ない。

決定的に彼女の口から別れを切り出されるのを恐れているのだ。

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