私と彼の恋愛理論
酔いつぶれた彼女を、自分の部屋に連れて帰った。

俗に言う、お持ち帰り状態だ。
俺も酔っていたし、いつもならそのまま手を出していたかもしれない。



でも。

ベッドに寝かせ、喪服を脱がせようとファスナーに手を掛けたところで、踏みとどまった。


間違いなく、今手を出したら、彼女は手には入らない。


俺もかなり酔っていた。
こんな時にまで計算高い自分に、思わず苦笑する。


とりあえず、これで我慢するか。


電気を消してベッドに入り、彼女を緩く抱き寄せた。

無意識に身をよじらせた彼女の髪にそっとキスをする。

「おやすみ、里沙ちゃん。」

そう囁いて、目を閉じれば眠気が自然と襲ってくる。

彼女が居るベッドの中は、程良い温もりで。

俺は、先ほど過ぎった下心が嘘だったように、安心して眠りに落ちた。
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