ダ・イ・エ・ッ・ト
スッと立ち上がり、佳奈は教室を出て行った。



シーンと静まりかえる教室。



「………美咲、立てるか?」



隆ちゃんに手をさしのべられ、



「うん……。」


と小さく美咲が答える。



その手は小さく震えている。



美咲には一瞬佳奈の顔がグニャッと変形したように見えた。



「殺す殺す殺す殺す殺す………」



頭の中で繰り返し流れる呪文。



耐えられない恐怖が美咲をおそう。



佳奈もやりすぎよ。
ちょっと嘘ついただけで………。



思い出さないように首をぶんぶん横にふる。


隆ちゃんの手をとり立とうとした時、ぞくっと背筋が凍った気がした。



バッっと窓を見る。



窓の外はグランド……。



窓から外を見ると誰もいない。



気の……せいよね……。



美咲は気づいて居なかった。



じっと女の陰が教室をグランドから見ていた事に………。
< 40 / 52 >

この作品をシェア

pagetop