臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
水筒作戦
 内海達とのスパーリングが終わった次の日からは、お盆の為、練習が五日間休みになった。

 この五日間は、親戚廻りや町内会の行事等であっという間に終わり、再び部活が始まった。


 鏡の前で四ラウンドのシャドーボクシングを終えた時、梅田が一年生達を呼んだ。

「今から俺がラリアットを食らわすから、お前達は横に動きながら避けろ。まずは有馬からだ」


 ラリアットは、腕を伸ばして上腕で相手の顔を狙うプロレス技である。


(ボクシングなのになんで?)

 康平達は、意味不明な指示に戸惑いながらも大きく返事をした。


 有馬は梅田とリングに入る。

 梅田が説明した。

「俺が左のラリアットをしたら、体を沈ませながら右に動け。右のラリアットは逆だ」


 梅田はユックリだが、本当に左腕でラリアットをした。

< 1 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop