臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「康平珍しいじゃん。うちに来るなんてさ」

 康平の背中に健太の姉が座っていたのだ。

 彼女の名前は真由(まゆ)といい、康平の二つ歳上で高校三年生だ。


 彼女は天真爛漫で、少しタレ目の愛嬌がある顔と、世話好きで面倒見がいい性格から男女を問わず友達が多い。


 康平は、背中に感じる柔らかい感触が気になった。

「真由さん……頼むから降りてくれないかな」


「私は座り心地いいんだけどな」

 そう言って康平の背中から立ち上がった真由は、マラソン選手のような短パンとランニング姿だった。

 康平は、グラマーな体型をしている真由を直接見ることができず、下に視線を逸らしていた。


「姉ちゃん探したんだぜ」

 二階に上がった筈の健太が台所の勝手口から入ってきた。かなり探していたようである。

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