臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 梅田の話はここで終わらない。

「今日有馬と片桐には、ダッキングしながらのボディー打ちを止めさせたが、それぞれ理由が違うから個別に説明する。まずは有馬からだが、お前は体重の割に身長が高いだろ?」


「はい!」

 身長が百七十一センチで、体重が五十キロの有馬は即答した。

 梅田は彼に言った。

「ダッキングは、相手より低い体勢になって避けるディフェンスだ! フライ級にしては背が高いお前が、相手より低い姿勢になるのは、お前にとって負担のかかる防御なんだよ」

「先生に質問なんですけど、フライ級でも俺より背が高い奴がいるんじゃないですか? だったら……」

「有馬の言いたい事は分かるが、まずは他の者へ説明が終わってからだ。四人共グローブを付けて来い!」


 有馬の言い分を遮った梅田は、一年生に命令した後自身もミットを両手に嵌めた。

 そして、康平を呼んで前に出させてから口を開く。

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