臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 麗奈はお構い無しに康平へ話す。

「綾香から聞いたんだけどさぁ。山口さんて元バスケ部なんでしょ? それも、かなり上手いって話なんだよね。……康平からバスケへ出るように頼んで貰えないかなぁ」

「そんなの自分で頼めばいいじゃんか! 図々しい性格は麗奈のいいところだって思ってんだよね、ボクァさぁ……」

 康平はさっきのお返しとばかりに反撃したが、平然とした顔で麗奈は切り返す。

「ほら、私って少し口が悪いじゃん! 山口さんて気が強そうだしぃ、チョット苦手なのよ。……彼女は何故かイケメンでもない康平と仲いいでしょ。お願い!」


 困っている康平だったが、そこへ健太が通り掛かった。健太も同じ中学だった麗奈とはよく話す仲だった。

「康平が困った顔してるって事は、麗奈の毒舌が炸裂してんだな。今回は康平に助太刀してやっからさぁ。で、何言われたんだ?」


 ニヤニヤしながら話す健太に麗奈は言い返した。

「失礼ねぇ。今は康平に相談中なの! ところで、そっちも綾香から球技大会の勧誘は来なかった?」
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