臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 健太は得心した。

「それでバスケ部が熱心に勧誘してるって訳だ。……でも誘われた俺達にも見返りってモンが欲しいよなぁ」

「何よ見返りって?」

「優勝したメンバー全員、オゴって貰う事にすんだよ」

 健太の話を聞いた麗奈の声が大きくなった。

「馬鹿言わないでよ! ケーキバイキングは幾らすると思ってんの? 一人千二百円なのよ」


 健太は冷静に話し始める。

「話は最後まで聞けって。バスケに出る全員が賭けに参加すりゃーいいのさ。確か一クラス十人参加するんだから、一年全員で六十人だろ! 一人二百円ずつ出して参加すれば一万二千円は集まるし、優勝したクラスのメンバーはタダでバイキングに行ける訳さ! みんな出すのが二百円だったら、ノってくると思うぜ」


「凄いなぁ。……中学ん時から健太って、どうでもいい事には頭が働くんだよね」

 麗奈は素直に感心していた。

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