臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「え……あんた達、私が目当てだったの」

 真由は、ワザとらしい言い方で恥ずかしそうにした。


「チゲぇよ! 康平が誕生日に贈るプレゼントの事で相談したかったんだよ」

 健太が真由のオフザケを遮り、本題を切り出した。


「ん、プレゼント?」

 真由はアグラをかきながら身をのり出した。

 どうやら彼女の世話好きな心を刺激したらしい。


 康平は照れながらも経緯を話す。

 そして金欠な事や、プレゼントは何を買えばいいか分からない事も相談した。


「……大体話しは分かったけど、小遣い貰えるのは月初めじゃないの?」

 真由が質問した。


「うちは十日なんだよな」

 残念な顔で話す康平に健太が言った。

「亜樹の誕生日は九月九日だろ。だったら五日位早めに前借りすりゃいいんじゃねぇの?」

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