臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
勇ましく逃げろ?
 放課後、亜樹が康平に言った。

「今週の日曜日は、康平も練習が休みなんでしょ?」

「いや、日曜日は午後イチで練習だぜ。明日だったら休みだよ」

「そう……だったら明日市民体育館に行かない? 少しはバスケを教えられるからさぁ。……でも折角の休みなんだし無理にとは言わないよ」

「こっちからお願いするよ。体育でもバスケをする日があるからさ。それに麗奈は怒ると怖ぇーからね」

 二人が麗奈に視線を向けると、彼女は熱心にクラスメイトを勧誘していた。



 康平が部活に行くと、飯島が一年生達に話し掛けた。

「今日は俺も第二体育館へ行くからな!」

(先輩達の練習は?)

 疑問に思った四人の表情に気付いたのか、飯島は話を付け加えた。

「あいつらは昨日スパーリングだったからな。今日はマスボクシングとサンドバッグがメインの練習だから、俺がいなくても大丈夫なんだよ」

< 114 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop