臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 すかさず有馬が突っ込む。

「先生、だったら頭を叩かなければいいんじゃないんですか? 簡単な事ですよぉ」

「それは難しい問題だな。なんたってお前らは叩き易い顔をしてるからなぁ。……無駄に喋ってる時間はねぇから急いで着替えろよ」

 飯島は笑いながら康平達を急かした。


 飯島は梅田と対称的な性格で、練習中も冗談が多くテンションは非常に高い。

 二人の先生から指導を受ける事はそれだけ練習がハードになる事を意味するのだが、ソフトな性格の飯島が練習に加わるので、一年生達は昨日よりリラックスした気持ちで練習の準備を始めていた。


 第二体育館に集まった一年生達だが、飯島先生がタイマーを持ってきた。

「知り合いのボクシングジムの会長から貰ったんだよ! これで全員練習に集中できるぞ」


 各々が準備できた事を確認した飯島は、床に置かれたタイマーのボタンを押しながら言った。

「まずはシャドー六ラウンドから始めるぞ!」

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