臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「そうすっかな。……それとプレゼント買いに行く時は、真由さんから選んで欲しいんだけど。……いいかな?」

 康平も健太に賛同したらしく、ついでにもう一つの悩みも相談する。


 真由はしばらく思案していたが、何か思い付いたようだ。

「康平。……今日コンビニでジュースを買わなかったから、百円は貯まったんだよな」

 真由はアグラをかいているせいか、何故か男の口調である。


「え……まぁ、そうだけど」

 既に小遣いを前借りするつもりでいた康平は、意表を突かれて曖昧な返事をした。


「今から毎日百円ずつ貯めていけば、誕生日の少し前までは結構いい物が買えるかもよ」


 真由の話に健太が反論した。

「そりゃねぇよ姉ちゃん! 俺達、今年の夏休みはあんま遊べなくて、あのジュースだけが生き甲斐みてぇなもんなんだぜ」

 多少オーバーだが、あながち嘘ではない。


「もとはと言えば健太が悪いんだから、アンタも康平に付き合うんだね」

 真由は、弟の健太に対しては容赦がなかった。

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