臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 白地で両脇に二本の赤いラインが入っているノースリーブのTシャツに、バスケットパンツ、そして白いバッシュの姿で亜樹は更衣室から出てきた。


「あまりジロジロ見ないでよ! 中二の時に着ていた練習着で、着れるかどうか心配だったんだから」

「い、いや、カッコイイと思ってさ……」

「さ、さっさと始めるわよ! まずは準備運動ね」


 二人が準備運動を終えた時、亜樹が口を開いた。

「ウォーミングアップついでにパスとドリブルの練習をするわよ。……私のマネをすればいいからね」


 亜樹は倉庫から持ってきたボールを、その場でドリブルしてから康平にチェストパス(胸から出すパス)を出す。

 康平は、受け取ったボールを亜樹のマネをして彼女にパスをした。


 何度か繰り返したが亜樹は首を傾げている。

「パスに勢いがないのよねぇ。だから相手に渡っちゃったのかも。……それとドリブルの時は、ボールを見ないで前を見てるといいんだけど……」

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