臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「六時半も過ぎたし……もう帰ろっか?」

「そうだなぁ、実はもっと練習してみたいけど恥ずかしいしな」


 二人は各々更衣室に向かっていった。


 外に出た二人だったが、康平はハッと思い出すように口を開く。

「今日は九月九日だよね! た、誕生日おめでとう」

「ア、アリガト。……そう言えば康平の誕生日って綾香と同じ日だったわね」

「俺のなんか気にすんなよ。勉強教えて貰ったお礼……い、いや、親友として渡したかっただけだからさ」

 慌てて言い直した康平に亜樹はクスっと笑った。

「親友だったら尚更お返ししなくちゃね! ところで健太の誕生日って何日?」


「一月一日だよ! アイツはちょっと可哀想なんだ。その日はみんな忙しいしなぁ」


「そう……あ、いっけない! 七時で家に帰んないと、両親が誕生日の用意をしてるのよぉ」

 亜樹は急いで帰ろうとしたが、一度康平の方へ振り返った。

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