臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「アホ、それだったら追撃だろう! ……いやチョット待て、そのまま逃げておけ。まず一番大事なのは打たれない事だからな」


 康平と白鳥の質問責めに、さすがに飯島も辟易したのか、時計を見て二人に言った。

「お前らは今日、新しい練習をするんだから、そろそろ準備運動を始めろよ! そしてシャドーをする前に俺の所へ来い」



 新しい練習が気になる康平と白鳥は、急いで準備運動を終わらせて先生の所へ行った。

 すると、飯島が少し険しい表情になっていた。

「お前ら準備運動はちゃんとやったのか?」


「いえ……かなり急いでやりました」

 二人は下を向きながら小声で答えた。


「だったらもう一度やり直してこい! スポーツ選手は、怪我や故障に人一倍気を遣わないと駄目なんだよ」

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