臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「僕と康平は、どんなタイプなんですか?」
「今はハッキリ言えないなぁ。……俺からタイプの事を口にしてなんだが、これはお前らが実戦を重ねないと分からない部分なんだよ。ただお前らは、ダッキングを多く使いそうな気がするだけだ。……大体ボクシングなんて相対的なスポーツなんだよ。相手が接近戦を苦手だったらこっちは接近するし、逆だったら離れて戦うしな」
少しガッカリしたような表情の二人を見て、飯島は話を付け加える。
「ただ一つ言えるのは、お前らが華麗にフットワークを使ってボクシングしそうなイメージが、俺にはどうしても沸かねぇんだよ。お前らの顔を見ると、あんまり器用そうじゃねぇからなぁ」
「ヒドイ言い方ッスね! 確かに僕と白鳥は、ボクサータイプになれない気がするんですけど」
康平と白鳥は、お互いの顔を見て苦笑した。
「これから二・三年生の指導が残っているから、お前らはもう帰っていいぞ! あぁ、……チョット待て!」
二人を呼び止めた飯島は、再び話を始めた。