臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「下手な奴にシュート打たしちゃ駄目なんじゃねぇの?」

「……経験者じゃない人にシュートを打たせるのは、ちゃんとした理由があるのよ。先週のホームルームで、担任が言った男子のルールって憶えてる?」

「んー、確かリバウンド禁止だっけ?」

「そうそう、リバウンドって敵味方に関係なく、シュートしたコボレ球をジャンプしてとるプレイなんだけど、私と麗奈は女子だと背が高い方でしょ?」

「……まぁそうだね」

 亜樹は百七十二センチの康平と同じ位の身長だが、麗奈も似たような長身である。

「だから私と麗奈は、シュートも狙うけどリバウンドを拾って得点にしようって作戦を立てたのよね!」

「じゃあ、俺達が打ったシュートのコボレ球を得点にしようって作戦かぁ」

「そうね。出来ればシュートを狙う役目の人には、スリーポイントのラインから打って欲しいのよ」

「尚更入んねぇと思うけど、……でも何で?」

「……練習終わってから説明していい? また沢山の人達が来たら練習しづらくなるでしょ! さぁ、そこの半円のラインからシュートを打ってみて!」

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