臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「私が康平にパスを出したら、相手チームに変身してディフェンスするからね。じゃあ、今からいくよ!」

 パスを受け取った康平がシュートをしようとした時、近付いてくる亜樹が視界に入り、慌ててシュートを打った。

 ボールはボードを越えてしまっていた。


「……もう一回いくよ!」

 亜樹は笑いもしないでボールを拾いにいき、再び康平にパスを出す。

 彼はさっきと同じく慌ててシュート打ち、今度はリングの遥か手前にボールが落ちてしまっていた。


「今ので、康平の欠点が分かったような気がするんだ。……まぁ誰にでもあるんだけどね!」

「……やっぱり相手がいると慌ててしまうんだよなぁ」

「康平に自覚があるんだったら、話し易いわね。いきなり慌てないようにして打てと言っても難しいと思うから、シュートの打ち方を君に教えようと思うんだ。私もこのシュートは得意じゃなくて、君に上手く教えられるか分からないけどやってみる?」

< 147 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop