臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「あぁ、是非お願いしたいよ。今のシュートのフォームもカッコ悪いだろうしな。でも亜樹にも苦手な事ってあったんだ」

「得意じゃないって言ったの! それよりフォームを教えるからね! 康平って右利きだよね。ボールは右手で持って左手は横に添える感じでね」

 笑って突っ込んだ康平に軽く言い返した亜樹だったが、自ら見本を見せながら教え始めた。

「いきなりロングシュートは厳しいから手前からしよっか! シュートは右手でするからね」

 フリースローの場所に立ってシュートをした康平だったが、ボールがリングにも届かず手前で落下してしまった。

「最初から上手くいくわけないんだけど、何か違うのよねぇ。……そうそう、右腕の位置はココなのよ!」

 亜樹は説明しながら、康平のボールを持った右腕を直接修正する。

「リングに向かって、右膝と右腕が同じラインにあるような感じね。……チョット康平、何赤くなってんの? シュ、シュートは腕じゃなくて、膝……特に右膝で打つ感覚だからね」

 康平と同じ位に亜樹の顔が赤くなっていた。

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