臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「あぁ、あのゲームね。あれの十五面をクリアした人は殆んどいないらしいぜ。……それに友達の話だと、あのストラップはデパートで普通に千円位で普通に売っているらしいぞ」

 健太は珍しく、本気で康平に同情していた。


 黙っている康平に健太が訊いた。

「亜樹へのプレゼントの為だったのか?」

「あぁ」康平は力無く答える。


「元気出せよ。もうすぐ練習なんだからさ。……気持ちを切り換えねぇと、またミットで頭を叩かれるぜ」

 健太は、ワザとらしい程大きな声で康平を励ました。


 その日の練習は昨日と同じく、ラリアット攻撃をかわす練習がメインだった。

 余談ではあるが、この日ミットで一番頭を叩かれていたのは健太だった。

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