臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「あ……いや、亜樹は優しいなぁと思ってさ」

「何よイキナリ」

「だって俺達を下手って言わないだろ! ここで練習始めた時から一度も言ってないよな」


 怒ったフリをしていたような亜樹だったが、急に真顔になった。

「言わないようにっていうか、思わないようにしてるよ。球技大会と言っても、チームメイトだからね」

「団体競技って経験無いから分からないけど、そういうもんなの?」

「康平は中学の時卓球部だったんだよね。これは私が勝手にやってる事だから、君は気にしなくていいからね。ミニバスの頃からだけど、メンバーを悪く思わないようにしてるんだ」

「それは、チームが勝つ為の秘訣?」

「そんな大層なものじゃないんだけど、一種の自己満に近いのかなぁ。……でもそうやって試合に臨むと、試合中はメンバーと一体になっているような気がするんだ」

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