臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 練習が終わり、学校の生ぬるい水道水をタラフク飲んだ康平と健太は帰路についた。


 帰りの電車の中で健太が口を開く。

「康平、携帯ストラップをプレゼントしたいんだったら、少し金を貯めれば買えんじゃねぇの?」

「いや、携帯ストラップはやめとくよ。……ゲームで二千三百円を使った後に思ったんだが、景品でプレゼントするのはチョットな。……今は、何をプレゼントするかは白紙の状態さ。真由さんも身に付けない物がいいって言ってたしな」

「俺も姉ちゃんのシタタカな性格は、いつもながらスゲェと思ってんだけどさ。そう言えば康平って、ジュース代はいくら貰ってるんだ?」

「いつもは百円だけど、図書館に行く時は二百円だよ。図書館へ行くと母さんの機嫌がいいんだよな」


 健太が少し思案して口を開いた。

「……明日から図書館へ水筒を持って行けよ。但し、康平は家の人に見つかんなよ。ジュース代貰えなくなっからさ。……康平一人だと危なっかしいから、俺も水筒持って付き合うからよ」

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