臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「ボクシングの上達に何か関係するとか……ですか?」

「まず無いな!」

 白鳥の問いにキッパリと否定した飯島は、再びニヤリと笑って話し出す。

「俺は教師である前に人生の先輩なんだが、お前らに俺の持論を押し付けるつもりだ」

「どんな持論なんですか?」

 気が乗らない表情で康平が訊いた。


「男はなぁ、女の子の前で恥ずかしい思いをする程成長できるんだよ。お前らは、俺から見るとムッツリタイプだからな。まぁこれは強制だ!」


 困った表情になった康平と白鳥だったが、

「康平、先に行ってるよ」

と言って、白鳥が一人第二体育館へ向かっていった。もちろん、ケンケンと空気椅子をする為である。


「ん、珍しいな。いつもだと、ケンケンと空気椅子は二人一緒に始めるだろ?」

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