臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「ボクシングの練習なんて、俺初めて見るよ」
「何か変わった練習よね」
注目されながら、壁に添ってケンケンをしていた康平と白鳥は、恥ずかしさのあまり普段よりも一層顔が赤くなっていた。
「あっちはまだ部活なんだからさ、こっちは邪魔しないように練習しよ!」
「麗奈の言う通りよ、シュート組は私と一緒に練習再開ね!」
康平達を見ていた七人だが、麗奈と亜樹に諭されて練習に取り掛かっていた。
十往復程ケンケンをした二人は、右足の蹴りを意識しながら左ジャブ二発のシャドーボクシングを繰り返す。
「もう、コートは思う存分使えるわね! また試合形式で始めるわよ」
「麗奈は、あの二人の練習メニューを知ってるみたいね」
「まぁね! ボクシング場が狭いから、一年生達はここで練習してる時が多いのよ」
女子メンバーから訊かれた麗奈は、練習している二人を見ながら答えていた。