臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 休み時間が終わりのチャイムが鳴った時、麗奈はポツリと言った。

「うちのメンバーさぁ、練習の後にファーストフードへ行ったりして、みんな千円位遣っちゃっているんだよねぇ。……元を取ろうって思わないのかな」

 亜樹と康平は、「きっと試合になったらみんな頑張るよ」等と交互に言ってなだめていた。



 放課後になり、ボクシング部の練習も終わった者から順に着替えていた。

 永山高校ボクシング部は、全員揃って練習を始めるわけではない。ボクシング場に来た者から、個々に練習を始める方式になっている。

 特に二・三年生は、選手各々の課題と練習メニューが異なる理由もあって、そのような形にしている。

 四人の一年生は着替えを終え、先生や先輩達に挨拶してから帰ろうとした時、三年生の石山と兵藤が梅田達と話をしていた。

 そこに康平達が挨拶をすると、石山が呼び止めた。

「お前らもうすぐスパーするんだってな。最初は辛いかも知らねぇけど辞めんじゃねぇぞ!」

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