臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 有馬が話題を変えて質問する。

「先輩方と一緒に黒木も国体に出るんですか?」

「黒木? ……あぁ、あのライトフライ級(四十九キロ以下)の奴だろ! 確かお前らと同じ一年だったよな。あいつも国体に出るんですよね」

 石山は飯島に確認した。黒木は一年で県予選を勝ち抜き、インターハイに出場している。

「今回もライトフライ級で出るハズだ。減量は無いみたいだしな」


 国体の全国大会は、ミニ国体と呼ばれる地方の予選で、成績上位の県が出場できる。だが、その県の全ての選手が出れる訳ではない。全八階級の内、県で推薦された五階級の選手だけが出場できる。


「黒木はインターハイでどこまで勝ち残ったんですか?」

 白鳥が飯島に訊いた。有馬と同様体重が近い事もあり、黒木の事が気になっているようだ。


「三回戦で負けた。チャンピオンになった奴と当たったんだが、二ラウンドまでは互角だったよ。三ラウンド目、打ち合った直後に左フックを貰って倒されたんだ。それでストップされたんだよな」

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