臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 麗奈はメンバーに亜樹の提案を話したところ、全員が即座に賛成した。

 練習の際、亜樹の教え方が丁寧だったのもあってか、メンバー全員が彼女を信頼しているようだ。



 試合が始まった。場所は第二体育館である。

 ジャンプボールで競り勝った三組が速攻でゴールを決めて先取点を挙げた。ゴールを決めたのは女バスの部員である。三組は、三人のバスケ部員が最初から出ていた。

 麗奈達は動揺している様子もなく、ユックリと相手ゴールへとボールを進めていく。相手方ゴールの近くで、メンバー全員が所定のポジションについた。

 ロングシュートを狙う小柄な中澤・小谷のコンビは、それぞれ左右のスリーポイントラインに展開した。

 二人の男子メンバーはバレー部と野球部の部員で、身長は共に百七十五センチを超えている。長瀬程ではないが運動神経もあり、そこそこ『バスケットボール』が出来る二人だ。時折ゴール下に切り込んだりして忙しく動いていた。

 コートのやや中央にいる麗奈から、坊主刈りの野球部の男へボールが渡った。麗奈はパスを出すと同時にゴール下へ走っていた。

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