臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 水筒の件は初日から両親にバレた康平だったが、何とかジュース代を貯める事は出来そうである。


 康平は水筒を持って図書館へ向かった。

 一緒に歩いている健太の大きなバッグにも、水筒の形が浮き出ている。

 健太に素朴な疑問が沸いた。

「俺は宿題をやっつけるけど、康平は本当に勉強すんのかよ? お前、とっくに宿題終わってんだろ」

「…………」

 康平自身も迷ってしまった。


「大丈夫だって! 俺が何とかするからよ」

 健太が笑いながら話す。


 健太がこのセリフを言う時は、大抵アテにならない事を康平は過去の経験でよく知っていた。



 図書館に着くと亜樹と綾香がいた。亜樹が疑いの眼差しで康平を見た。

「健太が宿題をしにきたのは分かるけど、康平は本当に勉強しに来たの? 昨日の電話から何か怪しいのよね」

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