臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 一組のディフェンスになった。三人の女子バスケ部員には四人のマークが付いている。

 目まぐるしく動く八人に、黄色いゼッケンを付けた八番と九番の二人、三組の女子バスケ部員以外のメンバーは、遠慮勝ちに動いていた。

 五番の女子はパスを貰ったが、長瀬がマークしていた為、すぐに八番のゼッケンを付けた男子へパスを出した。彼はシュートを打てる場所にいたにも拘わらず、誰にパスを出そうか周囲を見回している。

 五番のマークをしていた長瀬が、ボールの行方を追うように八番の男へ詰め寄る。八番の男がフリーになった五番の女子バスケ部員へパスを出した時、亜樹が長い手でそれを遮った。

 亜樹は自らドリブルで進んでいった。彼女は、勢いよくゴール下へ走っていた村田へパスを出す。ボールを手にした村田がシュートを決め、一組が初めて三組にリードした。


 一組も早いテンポで攻撃している為、攻守の切り替えが忙しい展開になる。だが亜樹と村田、そして長瀬の活躍で前半の終わる頃は、一組のリードが六点差にまで開いていた。

 そしてその終わり間際、一組の攻撃になった。ゴール下へ切り込んだ長瀬に、亜樹が山なりの高いパスを出した。

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