臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 大きくジャンプする長瀬に、三組の女子バスケ部員達も必死に跳んでいた。

 長身でバネもある長瀬は、悠々とパスを捕れそうだったが、何故かボールを後ろに逸らして相手方ボールになった。

 その後、三組が攻め始めた途端にホイッスルが鳴り、前半が終了した。

 麗奈達五人が座っている所へ各々歩いていったが、亜樹は村田と長瀬に何やら相談していた。


 ようやく一組メンバーが全員集まったところで、野球部の男が口を開く。

「長瀬、さっきのプレーはらしくねぇんじゃねぇの?」

 彼は名前を山崎大輔(やまざきだいすけ)というが、ニヤニヤしながら話している。責めているのではなく、運動神経抜群の長瀬がミスをしたのでカラカっている様子だ。

「ゴメンね! 今度上からのパスはしないようにするからさ」

 返答に困っていた長瀬に、突然亜樹が謝った。


「ん? なんで亜樹が謝ってんだ。長瀬は高いボールだと、ヘディングするから苦手……、という訳でもなさそうだしなぁ」

 今度は男子バレー部の服部拓海(はっとりたくみ)が口を出す。ちなみに長瀬はサッカー部員である。

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