臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「気付いてくれてアリガトね! 正直、ほぼ帰宅部の私が本職のバスケ部員をマークするのは大変だったのよ。彼女達は、スンゴイ動くでしょ!」

 家庭部の山根は息を切らしていたが、ようやく呼吸が整ったようだ。


「ゴメンね敦子! 後半はゾーンディフェンスをするからね。……でも、練習と違った方法でプレーしようと思ってるけど」

「え、何を変えるの?」

 興味深げに麗奈が亜樹に訊く。


「さっき相談したんだけど、夏美(村田)に私のポジションをやってもらおうと思ってさ」

「夏美がセンターをやるって事?」

「彼女にやってもらうのは、攻撃する際のポイントガードの方よ。私はセンターをやってリバウンドに専念するわ。……敦子じゃないけど、本職のバスケ部員相手に二つのポジションを兼ねるのはシンドイのよね」


「ポイントガードって司令塔みたいにパスを出すんだよな。本当は俺がやりたかったんだけどなぁ。……服部か山崎、どっちかやってみりゃいいじゃん! 麗奈をコキ使えるかも知れないぜ」

 亜樹と麗奈の会話に、長瀬が笑いながら加わった。

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