臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「ぶっちゃけ言うとさぁ、私もシンドかったのよね。……上手く出来なくてもいいからさぁ、どっちかやってくんないかなぁ」

 麗奈に訊かれた山崎と服部は、共に自信が無いのかお互いを薦めていた。


 少しの間沈黙が続いた。すると新しくポイントガードになった村田が大きな声で話す。

「もうこうなったら服部がやんなさいよ! 私だって自信が無くてもやるんだからね」

 彼女は同じバレー部員のせいか、服部には言い易いようだ。


「……わーったよぉ! やりゃーいいんだろ、やりゃーよぉ。どうなっても知らねえぞ」

「男だねぇ服部君! でも残念だわ。最後の台詞が無かったらポイント高かったのにね」

「大きなお世話だよ! ……ん? 二人共何か言いたそうだな」

 麗奈に何か言い返そうとした服部だったが、小柄な二人の男女、中澤保(なかざわたもつ)と小谷美和(こたにみわ)に話を振った。

 二人は顔を見合わせた後、中澤が口を開く。

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