臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

「オッケー、分かったわ」

 麗奈もチラっと康平と見た後、ニコリと言った。村田は無言だが、納得したような顔で頷いている。


「それと亜樹、……アリガトね」

 麗奈はそう言ってコートに入っていった。


「服部チョット待って!」

 コートへ入ろうとした服部を亜樹が呼び止める。

「完璧なパスなんて考えないでね! 六十点主義でいいからさぁ、迷わないでパスすれば大丈夫だからね」

「そっちの女王様は優しくていいなぁ」

 服部は笑ってコートに向かっていく。



 後半戦が始まった。控えの椅子で長瀬が亜樹に言った。

「さっき中澤が質問した答えを訊きたいんだけどさぁ、今教えてくんねぇかなぁ」

「あの八番と九番の事? 遠慮しただけだと思うけど……」

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