臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 後半戦も五分が過ぎ、五人の控えメンバーは麗奈達と交替した。

 一組の攻撃。新ポイントガードの村田を中心に、相手方コートへ進んでいく。

 前半よりもマシにはなっていたが、バスケが苦手というトラウマがあってか、まだ康平の動きはギコチない。

 だが中澤の動きを真似て、康平なりに空いている所へ位置を変えていた。

 村田から山根へボールが渡る。山根は、左サイドからスリーポイントシュートを放った。小谷と同様に、両手で突き出すようなフォームである。

 ボールはゴールから大きく逸れ、エンドラインから出ていった。


「あれ? 相手ボールになっちゃった」

「敦子、気にしないで! 今みたいにドンドン狙っていこ!」

 亜樹は、戻りながら山根の肩をポーンと叩く。そして、亜樹が長瀬にも何か話していた。彼はよく分かっていない様子だったが、
「ボスには逆らえないからな」
と笑っていた。

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