臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「やるじゃん!」

 ディフェンスに戻る康平の肩を村田が軽く叩いた。


「い、いや、マグレだよ」

「ハハハ、その割には顔がニヤけてんぜ」

 控え目に答えた康平だったが、長瀬から突っ込みが入る。


「私達ビギナーズ初得点だね!」

 山根が康平に両手でハイタッチをした。


「先に康平がシュートを決めたのに悔しくはねぇのかよ?」

 心から喜ぶ山根を見て、長瀬が不思議そうな顔をしている。


「別にいいじゃない! それに、私のシュートのリバウンドでも点が入ったでしょ!」

「かなわねぇよ」

 長瀬は降参したような表情で苦笑した。


「みんな早くディフェンスに戻って! また速攻が来るわよ」

 亜樹が四人にディフェンスを促した。自分も祝福に加われなかったからか、どことなく複雑な表情である。

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