臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 四人が勉強できる机に座った。健太は黙々と宿題に取り組んでいる。

 健太が気になり、ノートを開いてシャーペンを持ってはいるが、三十分以上経っても康平のノートは白紙のままだ。


「康平は、歴史のマンガで勉強した方がいいんじゃない?」

 亜樹は少し呆れ顔で言った。

 ここの図書館には歴史のマンガ本を置いてある棚があり、康平は亜樹がいない時によく立ち読みしていた。


 更に三十分程経つが、康平はその間トイレに行ったり、勉強する科目を変える為に二回程バッグから本の出し入れをするが、勉強そのものは全く行っていない。


「同じ机にやる気のない人がいると迷惑なのよね。いくら健太に付き合ってるっていってもヒドイんじゃない?」

 今度の亜樹は少し怒っていた。


「それは違うよ」

 康平は即座に否定した。

 この声は大きかったようで、周りの人が一斉に康平を見る。

 図書館のオバサンも、右手の中指で眼鏡を軽く持ち上げて四人を見ている。


 康平は四方にペコペコ頭を下げた。他の三人は康平だけが目立つように頭を低くした。
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