臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「二人にちょっとしたアドバイスを受けてたんだよ」

 康平が教えて貰ったポーズをしながら答える。

「なるほどね! バスケ部員以外には引っ掛かるかもよ」

「亜樹さんはまだ試合見てんの?」

 ニヤリと笑った麗奈に小谷が訊いた。


「亜樹はまだ試合を見て考えてるみたい。私は、バスケの審判をするかも知れないから早く戻って来たんだ」

「どっちが勝ってんの?」

 今度は中澤が質問する。

「六組が少しリードしてるよ。梓ってコは手強いわね」

「僕達も見てこようかな?」

 中澤と小谷は試合が気になったらしく、第二体育館へ向かっていった。康平も二人について行こうとした時、麗奈が言った。

「一人で食べるのは寂しいから康平は残ってよ」

 麗奈は女子にしては大きな弁当を出す。そして彼女は食べながら康平に話し掛ける。

「私ってさぁ、細かい事考えるのって苦手なんだ。その点亜樹は色々考えてんだよね。……見習いたいんだけどさ」

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