臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 感心している麗奈を見て康平がニヤニヤしていた。

「何ニヤついてんのよ! 気持ち悪いわね」

 咎めるような口調の麗奈に、康平は笑いながら弁解する。

「いやぁね、亜樹もさぁ、一組との試合ん時は『麗奈は凄い』って感心してたから、チョット可笑しかったんだよ」

「へぇー、そうなんだ」

 麗奈は照れながらも素直に喜んでいた。

「まぁ、どこを感心してたかは訊かないけど、康平だって頑張ってんじゃん。……私、結構見直してるんだよ」

「えっ! 俺、前の試合でシュート二本しか決めていないぜ」

「二本しかじゃなくて、二本もでしょ! そんな言い方したら、バスケが上手い人だって誤解されるじゃない」

 意地悪な顔をして言った麗奈だったが、真面目な表情で話を続けた。

「バスケだったら康平にしては上出来だよ。それに、リバウンドで得点につながったしね。……私が言いたいのはボクシング部の方だよ。中学ん時は、卓球部を健太と二人でよくサボってたでしょ! 今の部活、よく毎日続くと思ってさ」

< 235 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop