臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「麗奈が俺を褒めるって珍しいよな。……ただボクシングは、まだ実戦もしてないぜ」
「ボクシングの事は分かんないけどさぁ、ほら、あんたと白鳥君がやってたのあったでしょ? 空気椅子となんだっけ? ……ほら片足で跳ぶヤツ」
「あぁ、ケンケンだろ?」
「そうそう、その二つね。地味で辛そうな事を、顧問がいなくても真面目にやってるじゃん!」
「白鳥が真面目だから、つられているかも知れないんだけどな」
「うちの顧問が言ってたよ!
『ああいうコ達って、センスが悪くても案外いい成績残すのよ』
だってさ。田嶋先生は天然だけど、見てるところは見てるからね」
「いい成績はともかく、まぁ頑張ってみるよ」
「……康平も中学ん時から今みたいに頑張ってたら、あんたを見る目も変わってたんだけどね」
康平は、どう応えたらいいか分からず、困ったような顔になっていた。
「アハハ、心配しないで! 私、康平を彼氏にする程趣味悪くないからさ」
麗奈が言い終わった時、三人の女子が教室へ入ってきた。
「麗奈ちゃん、六組勝っちゃったよ! 綾香と決勝だね」