臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「残念だけど、ボクシング部の一年生の名前は全員分かるんだ。それはそうと麗奈ちゃんと高田君は教室で二人っきりだったよねぇ。……何か怪しいなぁ」

 今度は七番の女子がイタズラっぽい視線で言った。


「私はお昼で、康平は他のメンバーと技の練習してたのよね。康平、何なら三人に見て貰えばいいじゃん」

 麗奈は平然と答えたが、五番の女の子が言った。

「ゴメンね、その時間は無いんだ。次の試合は審判するかも知れないから部室に行かなくっちゃね」

 三人組は急いで部室に向かっていった。入れ替わりに、試合を見ていた一組メンバーが教室に入ってきた。

 開口一番に山根が言った。

「あれ、今出て行ったの三組のバスケ部員だよね?」

「あの三人、私の代わりに審判やってくれるってさ。お陰で時間に余裕が出来て助かったよ。……ところで亜樹、試合はどんな感じだったの?」

「接戦だったけど、梓ってコとリバウンド勝負は厳しくなりそうね。それに綾香と健太は運動量があるしね。……健太って意外にバスケ上手いんだね」
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