臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「アイツは割と器用な方だからな」

 康平が言った後、麗奈が亜樹に尋ねる。

「ところでアーキさん、何かいいアイデアは無いの?」

「無いことも無いけど、アイデアとは言えないよ。……それよりお腹減っちゃった」

 亜樹は時計を見ながら自分の席に戻り、弁当を出している。時間は午後一時を回っていた。


「ねぇ、どんな事考えてんのさ」

 麗奈は、食べ終わった自分の弁当を急いでしまうと亜樹の前の席に座った。


「女王様同士の会議が始まったからさぁ、私達は他の競技でも見物していようよ」

「そうだな、俺達イヤシイ身分の者は他へ行ってようぜ」

 山根が言うと長瀬が笑いながら付け加える。

「チョットそこの二人! 今は許すけど、試合ではその分活躍して貰うからね」

 麗奈に言われたメンバー全員は、そそくさと教室から出ていった。

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