臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

「何やってんのよ、もう」

 亜樹が声を殺して康平を叱った。


「……ゴメン」

 康平は謝った後、健太の名誉回復をしようと、二百円を貰う為に図書館へ来た事だけでも話すつもりになっていた。

 勿論プレゼントの事は内緒にするつもりだったが……。


「ぷっ……怒られてやんの」

 健太が笑いながら康平をからかった。


「康平は笑われてんのに何か嬉しそうね」

 綾香がクスっと笑った。


 健太が口を開いてホッとした康平は、顔に出てしまったようだ。


 健太が三人に言った。

「ちょっと休憩しようぜ」

「そうね。今日健太は宿題頑張ってたから、休憩を希望する権利があるわね。……康平にはないけど」

 亜樹も同意した。


 康平と健太は水筒を持ち、亜樹と綾香は小さなペットボトルを持ってロビーへ向かった。

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