臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 バスケ以外では、どこも一組が勝ち残っていなかったので、康平達はバラバラになった。


 午後二時半になり、第一体育館で決勝があるのでそこへ向かって歩いていた康平は、再び有馬と白鳥に出くわした。


「大口叩いて負けちゃったよ」

 有馬は恥ずかしそうに頭を掻いた。

「梓ってコが凄かったんだろ? クラスの奴から聞いてるよ」

「まぁな、ありゃシャレになんねぇな。……ところでコイツ、マジで球技苦手だったんだよ。パスしたらさぁ、二回もボールを避けてたんだぜ。ボールを怖がってんじゃ重症だよ!」

 有馬は、白鳥を冷たい視線で一瞥してから康平に話した。

「あ、いや……あれは有馬が咄嗟に……」

「何だよ、俺のせいだって言うのかよ?」

 白鳥は、これ以上言い訳出来ずに小さくなっていた。


「お、俺は試合があるから行ってるよ」

 今の二人に関わりたくない康平は、急ぐフリをして体育館へ向かおうとした。その時白鳥が弱々しい口調で言った。

「康平も、いきなりのパスには気を付けた方がいいよ」

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