臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 康平が向かった第一体育館は、第二体育館より四倍近く広い。バレーボールを二試合、バスケボールを一試合同時に行っている。


 試合直前、健太は康平の所へ足を運ぶ。

「康平君の珍プレー、期待してっからよ」

 ニヤつく親友に、康平は偽物の笑顔で返す。

「珍プレーは狙って出来るもんじゃねぇからな。……まぁ期待に添えるように努力するよ」

 健太は一組の前の二試合を見ていないようである。


 綾香は笑顔で麗奈に小さく手を振っていた。麗奈も微笑んでお返しをしながら小声でメンバーに話す。

「あの笑顔に騙されちゃ駄目! 綾香は手強いよ。……女の笑顔は怖いんだからね」

「そ、そうだな」

 長瀬は麗奈を見ながら納得した。



 六組の梓と、一組の服部のジャンプボールで試合が始まった。

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